15歳のラビリンス


「…だから、カンナの好きな人が貴昭」


「…え…」



じゃあ…。


あの夏祭りの花火の時に見てた相手って貴昭だったの…?


カンナのあの表情は、貴昭が彩乃と一緒にいたから?



「…カンナはいつも一緒に私じゃなくて、ジンに頼るんだね…」



私はカンナを友達だと思ってたから、ジンの事をいっぱいいっぱい話してきた。


でも、私はカンナの好きな人さえ知らなかった。


信用…されてなかったのかな…?



「美織は仁哉の事ばっかりだったから、言えなかったのかも。私と美織の付き合い長い事も知ってるから、余計に言い難かったのもあったんだろうし。…でもだからって、私の知らないところで、貴昭に電話してたり会ってたりするのは許せない」


「…うん…」



彩乃は手を振って家の方へ歩き出した。


私も手を振り返すと自分の家に向かって足を踏み出す。


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