15歳のラビリンス
「…何でそんな事あなたに…」
「先輩のせいで、仁哉はめちゃくちゃなんです!前の仁哉なら絶対に他校の人とケンカなんかしなかった。先生に反抗だってする事なんかなかった!…あんなに冷酷な表情する人なんかじゃなかった…」
話しながら思い出したのか、近藤さんの声が途中から涙の混じったような声になる。
「…別にそれは私のせいじゃ…」
「あなたのせいで仁哉は毎日のように先生に小言を言われてたんですよ?!受験の妨げになるとまで言われて…」
受験の妨げになる…?
仁哉の存在が?
妨げになるどころか、私にとって心の支えになる唯一の場所だったのに…。
「仁哉が先輩の妨げになってるんじゃない。最初から先輩が仁哉の妨げになってたんだから…!」
近藤里美は吐き捨てるようにそう言って私をにらむと、逃げるように走って行ってしまった。