15歳のラビリンス
「美織ちゃんと俺じゃ直接対決ないし、そう言われてもな~」
「私、紅白リレーの選手なんだ。応援してね」
「…え?美織ちゃんがリレーの選手?」
「なにその反応。意外でしょ?人は誰でも取り柄って物があるんだからね」
意外そうなこうちゃんの反応に私は偉そうに反論する。
「じんやー!日直の仕事サボらないでよー!今日、まだ一回も仕事してないでしょ?」
「うっせーなー。んな、めんどくさい事やってられっかよ」
遠くにいてもよく通る高い声。
それから、遠くにいてもよくわかる好きな人の声。
こうちゃんがそれに気づいて、後ろを振り返った。