15歳のラビリンス


近藤さんの姿とジンの姿が少し離れたところにある。


ギュッと持っていた音楽の教材を抱きかかえる私。



元彼女の近藤さんは、どうしてジンとあんなに普通に接する事ができるんだろう…。


クラスメイトだから?


それとも…ジンに嫌われたわけじゃないから…?



「…私、行くね」


「え?あ、うん…」



慌ててこうちゃんにそう言うと、クルッと方向転換して音楽室のほうへと走り出す。


卒業するまでこうして逃げるようにしなければならないのかな…?


俯き加減で走ってたら、前方から来た誰かと思いっきりぶつかった。


その拍子にかかえていた音楽の教科書やノートが床に落ちる。



「前見て歩けよ。大丈夫か?」


「ご、ごめん…」



苛立ったように言われて、慌てて顔を上げると、そこにいたのはサトル。


タイミングいいのか悪いのか…。


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