15歳のラビリンス
少し乱暴に机の上に置いた教材を見てドキッとした私。
音楽の教科書の名前の欄にサトルの名が記されていた。
…さっきぶつかって落とした時に間違えたんだ…。
できればあまり関わりたくないと思った瞬間からこういう事になるんだから、今日はとことんツイてない日なのかもしれない。
追いかければ間に合うと思って席を立ったけど、その願いは無常にも授業開始を告げるチャイムの音で崩れ去った。
席を立った私は静かに椅子に座りなおす。
授業終わったら隣のクラスに行ってサトルに教科書返さないと…。
関わらなきゃいけない事ができて、気が重くなる。
「じゃ、今日は合唱コンクールで歌う自由曲を決めるよー」
先生の言葉に周りのクラスメイトはざわめいたけど、今の私にはどうでもよかった。