15歳のラビリンス
サトルの表情は微妙なモノ。
さっきから私がわざとサトルに嫌がらせしてるみたいだもんね…。
「ごめん。さっき音楽の教科書間違えて渡したみたいで…」
「…ああ、間違えてたのか」
私が音楽の教科書を差し出すと、サトルは一旦自分のクラスへと入ってった。
そしてロッカーから音楽の教科書を取り出し、私のところへ戻ってくる。
「拾ってくれるのはありがたいけど、ちゃんと確認しろよな」
「うう、ごめん…」
サトルに教科書を渡し、自分のを受け取ろうと教科書を引っ張った。
だけど、教科書は自分のもとへこない。
「サトル?」
「…」
グイッと力を入れて引っ張っても、サトルは私の教科書を放してくれなかった。