15歳のラビリンス
ささやかな仕返しかと思って顔を上げる。
目が合うと、サトルはため息をついた。
…人の顔見てため息つくなんて失礼な…。
「あの…」
「あのさ…」
一言文句言ってやろうかと思ったら、サトルと私の声がかぶった。
「俺の口からあまり言いたくなかったんだけど、ついでだから言うわ。…河村にはもう近づくな」
少しためらったように静かに低い声で言ったサトル。
「…それは里美の兄としての私への警告?」