15歳のラビリンス
私の問いかけにサトルは黙り込む。
近藤里美とサトルは年子の兄妹だけど、特別仲がいいとかそういう話は聞いた事がない。
だから、妹の恋路を邪魔する私が許せないのから言ってるのか…
それとも、また別の意味があるのかどうなのか…。
「そうとってくれていい」
「…妹思いの優しいお兄さんなんだね」
「…そうだな」
嫌味を言ったのに反論もせずにサトルは静かにうなずいた。
サトルは音楽の教科書を無言で差し出す。
「…忠告はしたからな」
そう低い声で言うと、何事もなかったような顔で教室へ入ってしまった。
忠告じゃない。
明らかに警告…。