15歳のラビリンス
いつもならカンナが周りの人を自分のペースに巻き込んじゃうってのに、カンナが河村君のペースに巻き込まれちゃってる。
河村君ってムードメイカーなのかな……?
見かけると、いっつも数人の友達に囲まれて楽しそうに笑ってるし。
「別にいいじゃん。敬語なんか堅苦しい。大人じゃねーし、一つしか違わないんだからいいだろ?なぁ?美織」
「う、うん……って、えっ?!」
急に話をふられて焦ったのと、サラッと普通に名前を呼ばれたのとで驚いた。
「馴れ馴れしく美織を名前で呼ばないでよね!」
「おめーの事は名前で呼んでねーだろーが」
「あ、あの……」
ぎゃーぎゃーとわめくカンナを無視して、河村君は私の方を振り返った。
「いいじゃん。もう無関係じゃないんだし、オレの事も名前でいいから。よろしくな」
そう言いながら手を差し出してきた河村君の表情は太陽のようにまぶしかった。