15歳のラビリンス
見えない夢
体育祭が終わると、あっという間に秋は深まり、受験本番という空気が漂い始めた。
すでに志望校を決めた子はひたすら受験勉強。
アツシもその1人。
常に参考書を片手に、頭のレベルが同じ秀才君と一緒にいる事が多くなった。
私は何も変わってない。
志望校もまだぼんやりとしていて、受験勉強にも打ち込んでない。
私の周りが受験モードだけど、私1人がその波に乗れず、置いていかれたような気分。
学校だけではなく、家でも同じだった。
以前にも増して「勉強しなさい」という言葉が増え、ユウウツな気持ちが膨らんでいく。
私にあるのは、受験っていう重圧、ただそれだけだった。