15歳のラビリンス


やっとカンナの本音が聞けた。


嬉しいけれど、その恋を応援する事はできない。


「カンナ、私は…」


「いい。私が勝手に好きなだけだから。美織は何もしなくていい。でも、時々、愚痴聞いてもらえたら嬉しいかも」


「…うん」



カンナは強い。


望みのない恋だというのに、決して人前じゃ弱さを見せない。


私なんか、いつもうじうじしてるというのに。



「…いつから貴昭のこと…?」


「いつだったかなぁ。でも、夏前には好きだったと思う」



夏前…。


じゃあ、夏祭りの花火の時、辛そうな顔をしていたのは、貴昭を見ていたからだったんだ…。


< 259 / 338 >

この作品をシェア

pagetop