15歳のラビリンス
「毎日ね、電話かけてるんだよ」
「…」
「でも、すぐ切られちゃう。俺は彩乃が好きだからって。優しい声で言うんだよ。冷たく突き放してくれたほうがずっとずっといいのに」
「…そう…」
「美織は彩乃と幼稚園の時からの友達なんでしょ?だから私は言えなかった。ずっと仁哉にしか言えなくて。…ごめん、美織。ずっといい気分じゃなかったよね?でも、吐き出す場所はあいつしかなかったんだ。情けないけど…」
「カンナ。つまらない嫉妬してごめん。私は友達にすら戻れないのに、カンナはずっとジンと友達でいられる事がうらやましくて…」
私が言うと、カンナは首を横に振った。
「美織だって苦しいよね?でも、苦しいのは今だけだから。受験が終わったらきっと…」
「やっぱり増田の声かよ。聞き飽きた声がしたから…」
カンナの言葉が終わらないうちに、さえぎられた。
振り返らなくてもわかる。
これは、ジンの声だ…。