15歳のラビリンス
声を聞くだけでも胸が締め付けられる。
この気持ち、どうすればいいの?
苦しくて苦しくて仕方がないのに、行き場がない…。
「聞き飽きたとか失礼な。『聞き覚えのある美しい声』でしょ?」
「何が美しい声だ。全国の美しい声の人に謝れ、バカ」
久々に聞いた、漫才のような二人のやり取り。
私は思わずクスッと笑ってしまった。
それに気づいて、ジンがこちらを向く。
「何で美織がこんな時間にここにいるんだよ?おめー、今日は塾の日じゃねーだろ?」
私の塾の日をまだ覚えていてくれたんだ…?
もう、終わった事だからって忘れてると思ったのに。
こんな小さな事でも嬉しくて泣けてくる。
「仁哉、美織を家まで送ってあげてよ」
「えっ?!ちょ、カンナ…」
カンナの突然の提案に私は慌てる。