15歳のラビリンス
嬉しいけれど、心の準備ができてない。
それに、ジンにとっては迷惑なはず…。
「ああ、いいよ」
「じゃ、美織、また明日ね!」
「あ、ちょっと、カンナ~」
カンナは素早く自転車に乗ると、さっさと行ってしまった。
情けない声でカンナを呼んだけれど、彼女は振り返らなかった。
残ったのは気まずい空気と静寂。
「…仲直りできたんだな」
「…え?」
気まずさを微塵にも感じてないのか、ジンがぽつりと言った。
『なあ。お前、増田と仲直りしろよ』
体育祭の時にジンに言われた事。
別に、ジンに言われたから仲直りしたわけじゃない。