15歳のラビリンス


難しく私が考えていただけ?


それとも、ジンが単純に考えているだけ?



「あ、そうだ。お前、文章書くの得意だろ?小説家になればいいじゃん」


「は?!小説家?!」



ジンの発言に私は驚いて声が裏返った。


彼は私を見てフッと笑みをこぼす。



「夢なんて途中で変わったっていいんだから、難しく考える必要ねーよ。まだ中学生だろ?それじゃいけないわけ?」


「そうかもしれないけど…」


「じゃあ、いいじゃん。あんまり難しく考えてるとハゲるぞ」


「え、ハゲ?!」



ジンに指摘されて私は慌てて頭を抑えた。


それを見たジンは声をたてて笑う。



「美織が頑張ってるの、オレは知ってるから。だから、今が辛くても乗り越えて欲しい。って、年下のオレが言っても説得力ないか」


「そんなことない!」



頑張ってるの知っていてくれるだけでいい。


誰もそんな事言ってくれなかったから。



< 266 / 338 >

この作品をシェア

pagetop