15歳のラビリンス
ジンはいつもと同じように、ダルそうに歩きながらグラウンドに現れた。
クラスメイトとふざけあって、授業が始まるのを待っている。
私が、お母さんとケンカして家を飛び出したあの日。
ジンにハッキリと気持ちはないと告げられてから、校内で顔を合わす事は一度もなかった。
避けているんだと思う。
そうじゃなきゃ、こんなに会えない事なんてないはずだから。
同じ校内にいるというのに、姿さえこうしなきゃ見る事はできない。
避けられるのなら、言わなきゃよかった。
別に期待なんかしていなかったのに。
ハッキリと言われたのに、まだあきらめる事ができずにいる。
未練たらしい奴だって思われてよけいに嫌われるかも。
「はあ…」
深くため息をつくと、息は白くなって宙に消えた。