15歳のラビリンス
肩で息をしながら相手の反応を待つ。
今、応対してくれているのはジンのおばあちゃん。
『深川…美織さん?』
「あ、はい!そうです…っ!」
苗字しか名乗らなかったのに、フルネームで返ってきた事にドキッとした。
どうしておばあちゃんが私のフルネームを知っているのか…。
心臓の音がさっきよりも増す。
ガチャっとドアが開くと、ジンのおばあちゃんが中から出てきた。
「仁哉の祖母です」
「あ、初めまして!深川美織です」
慌てて挨拶をすると、おばあちゃんは優しそうに微笑む。
「仁哉のせいでいろいろ迷惑をかけてしまったみたいでごめんなさいね」
「そんな事ないです!私は…彼からたくさん大切な事を教わりました。私より一つ年下なのに、私なんかよりずっとしっかりしてて…」
ジンとの事を思い出したら涙が出てきた。