15歳のラビリンス
「あ、ごめん。ここでいい」
「あ、そう?」
私が言うと、仁哉君はブレーキをかけて自転車を止めた。
止まったのを確認して仁哉君の後ろからおりる。
家の前ではない。
お母さんが見ているかもしれないから、家から見えない近くの公園でおろしてもらった。
「ありがとう。助かっちゃった」
「いいよ、別に。また乗りたくなったら言えよ」
「……え?」
その言葉に深い意味はないんだと思う。
きっと、彼は私だけじゃなくて誰でも後ろに乗せてるはず……。
わかってて私はうなずいた。