15歳のラビリンス
美織へ
本当ならば顔を見てきちんと自分の口から言うべきなんだと思う。
でもきっと美織を泣かせてしまうから、手紙にした。
って、これこの前も書いたよな。
まあ、いいや。これを読んでるって事は、オレはすでにイギリスへ行ってるって事だよな。
イギリスへ行く事は中学に入る前から決まってたんだ。
だけど、親父の所へ行きたくなくてずっと先延ばしにしてた。
美織に別れを告げたのは、美織の将来に傷をつけたくなかったから。
「お前と一緒にいると、深川はダメになる」
そう先生に毎日のように何度も言われて、確かにそうだって思った。
だから、距離を置いた。
夏休み中、塾に村中を迎えに行ったのは、美織の姿を見たかったから。
あっくんと一緒にいるところを見て、オレもあっくんのように優等生だったらって何度も思った。
ひどい別れ方をしたのに、美織がオレの事をまだ好きだっていうのにはびっくりして、さらにひどい事を言ってしまった。
本当にごめん。