15歳のラビリンス


美織へ


本当ならば顔を見てきちんと自分の口から言うべきなんだと思う。


でもきっと美織を泣かせてしまうから、手紙にした。


って、これこの前も書いたよな。


まあ、いいや。これを読んでるって事は、オレはすでにイギリスへ行ってるって事だよな。


イギリスへ行く事は中学に入る前から決まってたんだ。


だけど、親父の所へ行きたくなくてずっと先延ばしにしてた。


美織に別れを告げたのは、美織の将来に傷をつけたくなかったから。


「お前と一緒にいると、深川はダメになる」


そう先生に毎日のように何度も言われて、確かにそうだって思った。


だから、距離を置いた。


夏休み中、塾に村中を迎えに行ったのは、美織の姿を見たかったから。


あっくんと一緒にいるところを見て、オレもあっくんのように優等生だったらって何度も思った。


ひどい別れ方をしたのに、美織がオレの事をまだ好きだっていうのにはびっくりして、さらにひどい事を言ってしまった。


本当にごめん。


< 290 / 338 >

この作品をシェア

pagetop