15歳のラビリンス
強いからって必ずジンと会えるとは限らない。
だけど、弱いよりは強いほうがジンと会える確率は上がる。
単純にそう思ったんだ。
今度こそ自分の手で自分の幸せをつかまえていたいから、誰にも文句は言わせない。
ただ、W高校は、お母さんが望んでいる高校と違って学力は少しレベルが落ちる。
だから、ここを受験するといえば絶対に反対されるに決まってる。
近場でもっとレベルが高いところにしなさいと。
私は親の言いなりにはもうならない。
後悔だけはしたくないから、自分の決めた道を進むんだ。
もう、何も失いたくはないから。
塾の先生との進路相談を終えて、事務室を出たところで、サトルと会った。
12月にジンともめて以来、サトルの事を避けていた私は、正面から顔を合わせるのはこれが初めて。
「お前も進路相談?」
「…うん」
無視して通り過ぎようとしたら、サトルが声をかけてきた。