15歳のラビリンス


「ただいまー」



家に帰ってきて、マフラーをはずしてあがると、お母さんがリビングから出てきた。



「塾の先生から電話があったわよ。あんた、W高校受けるんだって?」


「ああ、うん」



お母さんには言うつもりないって言ったのに、先生さっそく言っちゃったよ、もう。


私は返事をしながら自分の部屋に行こうとした。



「W高校なんてやめなさい。もっと他にいいところがあるでしょ!」



ほらきた。


だからお母さんに言うの嫌だったのに。


今の声があまりに大きかったのか、弟が部屋から顔を出した。



「受験するのは私だよ?何で自分の希望するところを受験しちゃいけないの?」


「W高校よりもっと上の高校受けなさいって言ってるの!あっちゃんはA高校で、あんたはW高校なんて恥ずかしいじゃない!」



恥ずかしい?


アツシと私を誰が比べて見るっていうの?


恥ずかしいと思うのはお母さんだけでしょ?


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