15歳のラビリンス
「W高校だっていい高校だよ!A高校なんて私が今さら頑張ったところで入れないに決まってるじゃない!今さらそんな事言ったって…」
「だから頑張って勉強しなさいって言ったでしょ。あんたがサボってるからこんな結果になったんでしょ」
「結果結果って、私は最初からA高校を望んでたわけじゃないし!望んでたのはお母さんでしょ?受験するのはお母さんじゃないよ?私なんだよ?どうしてそうやっていつもアツシと比べて私を追いつめるの?」
涙が出ないようにキュッとつくったこぶし。
受験という重圧に押しつぶされそうだった私を救ってくれたのはジン。
私は今を後悔しないように生きてるって自信持って言える。
確かに、勉強をサボって成績を落とした事は悪かったかもしれない。
だけど、追いつめるだけで心が休まる場所を作ってくれなかったのは事実。
それなのに、唯一の逃げ道をお母さんも学校の先生も私から奪った。
「そんなにA高校行きたいのならお母さんが受験すればいい!そんなに世間体を気にするのなら!」
「美織!」
パシッと乾いた音がした。
頬にジンジンと痛みが広がる。