15歳のラビリンス
弟がそんな事を思っていたなんて知らなかった。
私とは違って、成績もよくスポーツもできて親が期待している通りに育っているから。
「お母さん。姉ちゃんを受験生だからって追いつめすぎ。テレビや漫画、自由すら突然奪われたら、姉ちゃんは逃げたくもなるだろ。顔見れば勉強勉強って。少しでも姉ちゃんの体調とか気遣った事あるかよ?」
そう言うと、弟はまた自分の部屋に入ってしまった。
お母さんは何も言えないのか、ただ黙ってうつむいている。
「美織がそんなに追いつめられてるとは思わなかった。ただ、お母さんは将来、美織が困らないように少しでもいい学校へ行って、その先を進んでくれればって思ってただけで…」
部屋に上がろうとしたら、弱々しそうにお母さんはそう言った。
「もう決めたから。絶対にこの高校を選んでよかったって思うから」
「…そう。好きにしなさい」
お母さんはリビングへと行ってしまった。