15歳のラビリンス
「じゃあな、美織。今日はサンキューな」
「あ、うん。えっと、ジン……!」
仁哉君と言おうとして、なぜか途中で名前を止めてしまった私。
彼は方向転換をした後、私の方を振り返った。
「いいよ、ジンで。名前のようで名前じゃないからそのほうが呼びやすいだろ?」
「あ、いや、これは……」
「ジンって呼んだのは美織が初めてだ」
そう言って、彼は自転車をこぎだした。
後ろ姿が見えなくなるまでその場所に立ちつくしてた私。
見えなくなったあと、慌てて家に帰った。