15歳のラビリンス


「そんなに自分を追い込んで大丈夫?仁哉がいなくて辛いのわかるけど」


「決めたから。ジンだって生活環境ガラッと変わった中でサッカー選手になるから頑張るって言ってたんだから」


心配そうな顔をする彩乃に私は笑ってみせた。


彩乃はもうすぐ私立の一般入試をひかえている。


私の心配なんかしなくていいから、自分の事を頑張って欲しい。



「夏休みにさ…」


「ん?」



窓の外を見ながらポツリと彩乃がつぶやいた。



「夏休みに、仁哉が他校の生徒とケンカしたって言ってたじゃん?あれ、近藤里美と一緒にいた時に『お前、本命いるのに浮気してんのかよ』ってからかわれたんだって」


「本命?」


「うん。元々その他校の人とは友達だったんだけど、その言葉にキレて殴っちゃったんだって。その時、止めに入った近藤さんが突き飛ばされて転んですり傷作ったって」



里美がすり傷を作ったのはサトルも言ってた。


ジンの気持ちを自分に繋ぎとめておくために必死だったんだろうか?


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