15歳のラビリンス


「仁哉はずっと美織を想っていたんだって。先生から言われて、泣く泣く別れを告げる羽目になったって。辛い時に寄り添う事ができない、それどころか、美織を突き放さなきゃならない事に限界を感じてたみたいだよ。…貴昭も仁哉のイギリス行きは知らなかったけど、いなくなる前の日に急にそんな話を仁哉がし始めたんだって」


「そう…なんだ?」


「今は辛いけど、高校入ったら新しい事たくさん待ってるから、頑張ろうね」



彩乃のバカ。


そんな風に励まされると、嬉しくて泣いちゃうし。


高校は別々になるから、今から淋しくなっちゃうじゃん。


自分の事でいっぱいいっぱいなのに、私なんかを元気付けようとして。



本当にありがとう…。


彩乃と友達で本当によかったよ。





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