15歳のラビリンス
それをジンが持っていてくれたのは本当に嬉しかった。
「んでさ、これをジンちゃんから預かってたんだ」
「何?」
こうちゃんがカバンの中から白い袋を差し出した。
それを受け取って私は中を見る。
「お守り…?」
中に入っていたのはお守りだった。
手を広げて袋を逆さにすると、それは転がり落ちてくる。
『合格祈願』と書かれたお守りは、不思議と立派なものに見えた。
「何で…」
「美織ちゃんに渡してくれって頼まれてたんだ。12月に何で?って思ったんだけどさ。年明けて新しいのをあげればいいのにって。でも、これ受け取った次の日からジンちゃんいなかったから、新しいの買えなかったし、自分で渡す事ができなかったんだね」
こうちゃんはそう言うと、どこか淋しそうに微笑んだ。