15歳のラビリンス


ジンは大事な友達にすら別れを告げなかった。


どんな思いでこの地を去っていったのか私にはわからない。



「ジンちゃんは昔から弱音を吐かない奴だったからさ。俺とか貴昭に話したら自分が泣くと思ったんじゃないの?美織ちゃんに手紙残したのもそうでしょ。いなくなってからも世話かけるとかジンちゃんらしいよね」


「本当だね」


「しかもそのお守り、『俺が買ったんだから最強の合格お守りだぜ』って得意気に言ってたんだよ。本当バカだよね」


「バカすぎる」



お互いに笑っていたけれど、ジンがいない淋しさでいっぱいだった。


多分、こうちゃんも泣きそうだったと思う。


だから二人でジンの事をバカにして強がって涙を見せないようにしていた。



こうちゃんだってこんなに淋しい顔をしているのだから、ジンはもっとツラいよね。


英語の成績あまりよくないみたいだけど、イギリス行ってちゃんと生活しているのかなぁ?


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