15歳のラビリンス
最後の戦い
塾の廊下の壁には、高校ごとに合格した生徒の名前が並び始めていた。
難関であるトップレベルの私立高校をチャレンジしたアツシは、見事に合格していた。
アツシの名前が誇らしげに見えるのは、私がまだどこにも受かっていないせいなのかな。
でも、アツシの本命はその私立じゃではなく公立のA高校なので、気を緩める事はないようだ。
アツシがこの学校に受かった事はお母さんの耳にも入っているはず。
だけど、お母さんが私にその事を言ってくる事はなかった。
W高校の事でもめた日以来、勉強しなさいとか口うるさく言う事はない。
弟に言われたのが効いたのか、体調を気遣ってきたり、お腹空いてないかとか聞いてきたり。
一度、激しく言い争う事も大事だったのかなと。
何もかもあきらめて、親と向き合う事は全くしなかったから。