15歳のラビリンス
彩乃は私立M学園高校に、カンナは私立のC高校に合格した。
二人のように、私立が第一志望の人は何人もいて、受験生という重圧から解放された顔が増えてきていた。
それでも公立高校が本命の人の方が多く、進路が決まった人は解放感を表すのを自重しているようだった。
「私、卒業したら引っ越す事になったんだ」
「え?」
休み時間に窓の外を眺めていたら、隣にきた彩乃がぽつりとつぶやいた。
グラウンドは2年3組の生徒が体育の授業で出てきている。
ジンのいない2年3組。
でも、2年3組の生徒はジンがいなくても何も変わらない様子。
その光景を眺めている私だけが心の中に穴が開いたような気分でいた。