15歳のラビリンス


「…それから、カンナの事なんだけど」


「えっ?」



彩乃の口からカンナの名前が出るなんて事はないと思っていた。


このまま卒業しちゃうのだとばかり思っていたから。



「受験終わって、ちゃんとカンナと話をしたんだ。このまま卒業しちゃうのはやっぱり嫌だったし」


「そっか」


「貴昭の事は譲れないけれど、取るとか取らないとか、物じゃないんだしそう考えるのやめたの。人の気持ちなんて繋ぎとめておける物じゃないと思うから。だから、私も頑張る事にしたの。貴昭の気持ちがずっと私の方に向いていてくれるように、今よりずっとずっといいオンナになるって」



彩乃の言葉に思わずプッと吹き出してしまった。


彼女は真面目に話したつもりなんだろうけれど、私はおかしくて仕方がない。


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