15歳のラビリンス
「ちょっと、何で笑ってるの?ここ笑うところじゃないんだけど?」
「ごめんごめん。中学3年生が『いいオンナになる』って決意表明するのがおかしかったから」
口をとがらせた彩乃に私は手を合わせて謝る。
その言葉に彩乃もフッと笑みをこぼした。
「すばらしい中学3年生だと思わない?早くからの決意表明って大事だよ。美織が『いいオンナ』って使うのはきっと10年後だろうねぇ」
「あ、それバカにしてるでしょ?」
「さあね」
彩乃が立ち上がったと同時に授業の開始を知らせるチャイムが鳴り響いた。
ガタガタと椅子の音をたてながら、自分の席につくクラスメイト。
こんな光景を目にするのは後何回だろう?
今週末はいよいよ公立高校の受験。
ゴールまで後少し…。