15歳のラビリンス
試合はもう後半のロスタイムに入っていた。
3-0というスコア。
ピッピッピーという長いホイッスルが鳴り響くと、赤いユニフォームの選手達はその場に泣き崩れ、青いユニフォームの選手達は抱き合ったり、ガッツポーズをしていた。
『序盤はお互いに攻め合っていたんですが、やはり前半32分のカワムラ君のフリーキックで試合の流れが○○高校側に傾いたんですかね』
『そうですねー。あれは目が覚めるような見事なフリーキックでしたねー』
カワムラ君?
解説者と実況のやりとりが耳に入って、ドキッとした私。
カワムラなんて珍しい苗字じゃないし、反応する事でもない。
『では、ハイライトを見てみましょう』
実況の声で、画面がフリーキックの映像に切り替わった。