15歳のラビリンス
冷静になる事なんてできなかった。
だって…ジンが国立の舞台に立ってるかもしれないんだもん。
夢を叶えるために確実に自分の決めた道を走り続けているという事。
『放送時間もあと残り数秒となりました。それではこの辺でお別れしましょう』
「あ、おいおいおいっ!もっと映してってばっ!」
実況の爽やかな笑顔と解説者のほっこりとした笑顔で高校サッカーの放送は終わってしまった。
本人か確認したかったのに、一体どうすれば……?
放送が終わって、アップテンポなCM曲が流れている中、机の上に置いてあったケータイが鳴った。
画面には知らない番号が出ている。
中学の時には持たせてもらえなかったケータイ。
高校に入学してやっと買ってもらえたんだ。
中学の時に持っていたのなら、ジンともっと話す事ができたのに。
「もしもし?」