15歳のラビリンス


『美織、英語の成績あまりよくねーだろ?もっとべんきょーしろよ、べんきょー』


「え……?」



電話から聞こえてきた懐かしい声に驚いて思わず耳からケータイを離してしまった。


もう二度とこの声を聞く事ができないんじゃないかって、心のどこかで思い始めていた。


私はもう一度ケータイを耳にあてる。



「ジン……?」


『そう。オレ、去年の9月に日本に帰ってきたんだよね。んで、今どこにいると思う?』


「国立競技場……」


『あ、もしかして高校サッカーの決勝戦見てた?オレかっこよくなったっしょ?先制点なんかマジやばくね?あれは自分でもかっこよすぎると思った』



2年と少しぶりに話すというのに、全く緊張感がないジン。


それどころか、少しチャラ男が入っているような……?


つーか、放送時間終わっちゃって、あんまりよく見てないからかっこいいのかどうなのかわかんないし!


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