15歳のラビリンス
『美織?』
黙り込んだ私を心配したのだろう。
ジンが私の名前を呼んだ。
「大ばか者っ!突然何も言わずに消えたくせにっ!次に現れたと思ったら、いきなり高校サッカーの決勝戦だし、しかも1年のくせに得点王とか生意気な事やっちゃって!番号教えてないのに何で私のケータイにかけてきたの?!ちょっとチャラ男入ってるし、自分で自分の事かっこいいとかバカじゃないの?!」
涙がこみあげてきて、鼻の奥がツーンとなる。
しかも言っている事がめちゃくちゃで、自分でもよくわからなかった。
『美織。愛してる』
「……っ」
ジンの優しい声が私の心を動かす。
悔しいけど、ずっと忘れられなかった人。
「私の方が愛してるもんっ!」
『今からそっち行くから。美織の家の近くの公園で待ってて』
「えっ?!あ、ちょっと……」
呼びかけたけど、電話は切れていた。