15歳のラビリンス
そのカバンは確かにジンのもの。
でも、ジンだけじゃなくて他の場所にもカバンがいくつか置かれていた。
荷物が置かれてた正面に私とカンナが並んで座ると、ジンが姿を現した。
コーラの缶を手にしている。
「よう。おせーよ」
「別にアンタと待ち合わせしてたわけじゃないでしょ?」
ジンの言葉にカンナはピシャリと言い放った。
その言葉をスルーしながらジンは私の向かい側に座り、カバンから勉強道具を出す。
塾の課題をしていた私が顔を上げると、ジンと目が合った。
「うへー、難しそうな問題だな。オレ、受験生になりたくねーなー」
「私だってなりたくてなってるわけじゃないし」
「だよなー」
私の答えを聞くと、ジンはコーラを開けた。
プシュッという軽快な音が響く。