15歳のラビリンス
「あ、美織。コレ返そうと思ってた」
ボーっと立ってた私に、上から降りてきたジンが声をかけてくる。
先週貸した、過去問の入ったクリアファイルを手にしていた。
「あ、うん…」
「何だよ?あんまり顔色よくねーな」
「…」
ジンに言われて、38点の答案を思い出し、涙が浮かんできた。
言えるわけがない…。
「あ、そうそう。オレ、過去問のおかげで今回のテスト、かなりよかったんだけど♪」
「そ、そっか!よかったね…」
過去問借りたからって、勉強しなければいい点数とれないもんね。
ジン、頑張ったんだ…?
「けど、点数超えたの理科だけだったな。理科だけかなり勉強したからな」
そう言って、ジンはポケットから答案用紙を出した。