15歳のラビリンス
全力疾走してきた私は呼吸を整えるために深呼吸。
すーはーしてると、ジンがプッと吹き出す。
「そんな大げさに深呼吸してる奴も珍しいな」
「…恥ずかしいから見ないでよ」
「見てるとウケるから見てんだよ。恥ずかしいと思うならやるな」
いや、苦しいから深呼吸してるんですけど!
ジンにこれ以上バカにされたくないから、私は深呼吸をやめて歩き出した。
「美織?どこ行くんだ?」
「…塾。この辺だと誰が見てるかわかんないから」
そう言って、私はまた歩き出す。
誰かんちのおばちゃんとかに見られて、うちのお母さんに報告されたらもう、外に出してもらえなくなるって予想つく。
せめて、この時間だけは守りたい…。