15歳のラビリンス
「…受験が終わるまでの辛抱だろ?」
「…」
そう言われたけど、私は返事をしなかった。
ろくに挨拶もせずに学職を出ると、階段からおりてきたジンと目があってしまった。
学職は階段のすぐそばにあるから、出てきたところバッチリ見られた…。
「何だよ?悪い事やっちゃった?」
「ジンじゃないし。ちょっと授業中にボーっとしただけだよ」
「それでもじゅうぶん、悪い事ジャン」
ジンはそう言って私の頭をぐしゃぐしゃとなでる。
優しくて力強い手…。
先生達は、どうしてこの手を私から離そうとするの…?