【短編】夕暮れビターチョコレート
夕暮れビターチョコレート
恭にい……。
私は部活で少し遅くなり、夕日色に染まる帰り道を、恭にいの姿を探しながら走る。
そう、私の大好きな人の姿を探しながら――。
何でそんなに必死に探してるかって?
それは、今年こそバレンタインのチョコを渡すため。
何度も渡せなかったけど、今年が最後のチャンスなの……。
もうすぐ卒業して、推薦で決まった遠くの大学にいっちゃうから。
今日は恭にい、友達と部活の方に顔出していくって言ってたから、帰り道で会えるはず。
私はそう信じて、寒さも忘れて、ただ恭にいを探した。