【短編】夕暮れビターチョコレート
だいぶ家が近づいてきちゃった……。
どうしよう……。
すると、曲がり角をまがった先によく知ってる後ろ姿があったんだ。
すらっと高い背、いつもしてる白と黒のボーダーのマフラー。
いた……。
恭にいだ――。
不安と緊張が私の中で増えていく。
でも、それより傍に行きたい気持ちが強くて、
「恭にいー!」
名前を叫んで、同時に駆け出した。
すると、恭にいが振り向く。
夕日に照らされた恭にいの優しい笑顔が、あまりにもかっこよくて私の胸はときめいた。
「おぉ、奈津希ー!」
――ドキン。
名前は呼ばれ慣れてるのに、今日は特別にドキドキする。
――あっ!
その瞬間、躓いて転びそうになる私。