【短編】夕暮れビターチョコレート
…痛く……ない…。
「大丈夫か?」
恭にいに支えられてる――!
更に高鳴る鼓動。
私は慌ててはなれた。
「あ、あ、ありがとう……」
きっと今顔赤い。
私が隠すように俯くと、あたたかい手が頭をぽんぽんと撫でた。
「奈津希、そそっかしいのは昔からかわってないなぁ。もう高2になるんだから、もっと落ち着けよ。」
そう言ってゆっくり歩きだす恭にい。
「べつに落ち着いてるもん……。」
さっきまでのトキメキは消え去り、気分ががくんと落ち込む。
だって、恭にいは私をすぐ子供扱いするんだもん。
たぶん、妹としか思ってないんだ……。
私は落ち込みながら、恭にいの後ろをとぼとぼついていった。