【短編】夕暮れビターチョコレート
夕暮れでオレンジ色に染まる道に、2つの影がのびている。
その2つの影の間にあるのは微妙な距離……。
これこそ私と恭にいの関係みたい。
私と恭にいの家は近所で、幼い頃から一緒だったから、兄妹のように育ったの。
でも、いつからか私は恭にいのことが好きになってた。
だけど、恭にいは私のこと全然恋愛対象としてみてないんだ。
……一番近くにいるのに、
一番遠い存在なの。
私は恭にいの少し後ろを歩きながら、無意識に恭にいの影に私の影を近付けてた。
――こんなふうに寄り添う影を見てると恋人みたいだなって思うけど、全然違うんだよね……。
そんなのわかってる。
でも、後悔しないように今年こそ伝えようって思うんだ。