【短編】夕暮れビターチョコレート
鞄の中には恭にいへのチョコが入ってる。
昨日頑張って作ったの。
恭にいは甘すぎるのが苦手だから、ビターチョコレートを……。
だけど、渡さなきゃって思うとすごくドキドキする。
本当に私に渡せるのかな?
「奈津希、どーした?なんか元気ないな。」
――ドキッ!
「いや、いつもとかわんないよ!元気元気!」
私はとっさにガッツポーズをして、恭にいの隣に追い付いた。
全然そんな気分じゃないんだけど……。
「そーかぁ?奈津希は元気が取り柄だろ?」
恭にいは歯を見せて笑いながら言う。
「何それ!?私は元気バカじゃないもん!」
何よ……!
私は子供扱いされたことが悔しくて、頬を膨らませた。