たった12ピースのパズル
それから一度もその人の顔を見ないまま
朝のホームルームが終了した。
「じゃあこれで終わり。一時限目の用意をしておくように」
そう教室を出て行こうとするその人
だけど
パッと振り向いたと思ったら
「高峰、ちょっといいか?」
私に向かって、手招きをした。
廊下を二人で歩いてると
キャーキャーと周りがすごく騒いでるのを感じる
この人、昨日来たばかりなのに
もう人気なのかな…
顔はまぁ結構整ってるし
背も高くて
スタイルも…
「ん?」
観察していたのに気付いたのか
笑顔で首を傾げてくる
「別に…」
ただ、私はこういうタイプは好きじゃない。
容姿、頭脳、友達、家族…
何もかもに恵まれたような
そんな人は…
「入って」
促されるようにされ入ったそこは、
数学準備室。
授業で使う大きな定規や
たくさんのプリント類が所狭しと置かれ
少し薄暗い。
「悪いな、こんなとこ呼び出して」
そう真っ直ぐにこっちを見つめるその人に
わざと少しため息をついた。
「昨日は体調が少し悪かったので早退しました。」
呼び出されたであろう昨日の件を先に説明する
「あぁー…あぁ、そっか。」
「はい」
もう用はないだろうと教室へ戻ろうとした時
「学校嫌いか?」
そんな質問を投げかけられ
動きが止まった…。