たった12ピースのパズル
―バン!!
と乱暴に屋上のドアを開ける
ビク!っと体を跳ねさせたあと
「なんだ琉那かぁ…驚かさないでよ」
そう笑いかけてきたのは
私の唯一の女友達、光(ヒカリ)。
髪は明るい茶色だし
ちょっと口も悪いけど
友達思いで本当はいい子。
「で、どしたの?」
ポンポンと隣を叩かれ
冷たいコンクリートに腰を下ろす
「…新人の先生知ってる?」
「あぁ、みんなが騒いでる?名前なんだったかな…」
うーん…と考え込むように顎を触る光。
「名前なんか知らないけど、その人。」
名前も知らないんだと今気付いた
あの人だって、私のこと何も知らないくせに…
「何?あいつがどうしたの?何かされた?」
少し表情が険しくなった光に
首を横に振る。
「俺が学校を好きにさせてやる、楽しくさせてやる。だって…」
あの自信
思いだすだけでイライラする
「へぇー爽やかそうな顔して、実は案外熱い系なんだ…」
そう面白そうに呟いた光をムッと睨む
「いいじゃん、やらせてみれば。暇つぶしくらいにはなるんじゃない?」
軽くそう言う光は
どこか貶したように笑い
「教師がどこまでやってくれるのか、楽しみだね」
そう呟くと
一人屋上を去って行った…
「楽しみ、か…」
真っ青な青空を見上げながら
高校生活最後の一年が
何か大きく変わりそうな気配を感じていた…