たった12ピースのパズル
「やってしまった…」
屋上でガックリとうなだれていると
「どうしたの?楽しそうじゃん」
光が面白そうに声をかけてきた
「別に…楽しくなんかないし…」
「そう?前までそんな表情見せなかったくせに」
ニヤニヤと顔を覗き込んでくる
「りょう君のおかげ?」
「は?!なんでそうなるの、ってか、りょう君って…」
もしかして光まで…
「りょう君、数学以外の質問は全部ノーコメントなんだよ?」
「え…?」
「でもこの間こっそり聞いてみたの、琉那のこと」
「なっ…」
何してんの、光
「そしたら逆に聞き返された。琉那の友達か?琉那のこともっと教えてくれ~って」
「待って。言ってないよね…あのこと」
光を横目でチラリと見ると
光は少し驚いたように目をそらした
「言ってないよ。琉那の好きな曲とかは教えたけど、あのことは…」
「っそ。ならいいけど…」
先生も
もしあのことを知ったら…
きっと変わっちゃうんだろうなぁ…
少し寂しく思った気持ちをかき消すように
どこまでも続く大きな青空を見上げると
春の空気が
優しく包み込むように
ふんわりと肌を撫でてくれた…