たった12ピースのパズル


5月の第3週の金曜日

今日は郊外学習の日だった。

って言っても、息抜きにと遊園地に。


例年通り特進クラスは自由参加で

別に行かなくてもよかったんだけど…


崇と先生がどうしてもって言うし

タクにも行っておいでって言われたから

結局参加することになってしまった…。




「はぁー…」

めんどくさい。


バスの外の風景を眺めながらため息をつく


「なんだ?高峰、またため息か?」

幸せが逃げるぞ、とおじさんっぽい発言をする先生が

前の席から振り向いて顔を出す。


「俺が面白い話してやるから、隣来るか?」


「結構です」

満面の笑みの先生にそれだけ返すと

ゆっくり目を閉じた


先生に付き合ってると疲れるだろうから

着くまで寝ていよう


そう思ったのに…


「よいしょ」

隣で聞こえた声


「ほら、隣いる方が寝やすいだろ。肩貸してやるから」

そう頭を引き寄せられ

私はバッっと立ち上がった


「おいおい、そんなにイヤだったかぁ?」

少しいじけたような先生


この人…


「…元の席に戻ってください。」

努めて冷静に応対したが


「じゃあ着いたら一緒に行動しようか」


やっぱり

おかしい。


ほんっと、ありえない。


もういい。

普通に相手にしないのが一番だ。


「な?」と笑顔を向けてくる先生に

「はいはい」と適当に返した。



結局先生は元の席には戻らなかったけど

寝たふりをして無視し続けた…。



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