たった12ピースのパズル


「勝手に出口まで連れてってくれるやつだから大丈夫…」

薄暗い中で先生が優しく声をかけてくれる

でも優しくなんてない

こんなところに入れられて…


どうしよう…

本当に怖い。


カバンをギュッと掴んでいたけど

それでも怖くて堪らなくて…

隣の先生の腕をギュッと掴んだ


先生がビクッとしたのがわかったけど

気にしてる余裕もなく…

まだお化けが出てくる前なのに

ただジッと

早く終われと、耐えていた…



「大丈夫…俺がいるから…」

耳元で先生の声がしたと思ったら

背中に手が回ってくる感触がした…


「せんせ…」

抱きしめ…られてる…


「悪い。そんなにマジでダメだと思ってなくて…」

「うん…」

先生の本当に申し訳なさそうな声に

そのまま先生に抱きしめられたままでいた…


―キィー…

不気味な音がする


ギュッと先生を掴むと

―バン!!

大きな音と共にお化けが飛び出してきた


「っ…!!」

目をつぶって先生の胸に顔を埋める


怖い…

怖い…


「琉那…」


「え…?」

名前を呼ばれた気がして

顔を上げようとするけど


「ものすごいの見るぞ…」

と頭を手で優しく押さえられた…




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